★刃物の話 その四

主なSUSの呼び名・含有成分と特徴

オーステナイト系SUS

  • SUS201 Ni3.5~5.5% Cr16~18% Mn.5.5~7%
  • SUS301 Ni6~8% Cr16~18%
  • SUS304 Ni8~10.5% Cr18~20%
  • SUS316 Ni10~14% Cr16~18% Mo.2~3%
  • SUS201 Ni3.5~5.5% Cr16~18% Mn.5.5~7%

非磁性・焼入れ効果無、耐熱・耐蝕性・加工硬化大、 高延性・高靭性、金属光沢が綺麗で長持ちする

オーステナイト・フェライト系SUS

  • SUS329ji Ni3~6% Cr23~28% Mo1~3%

耐酸・耐食・耐海水性に優れ、高強度、磁性を有す

フェライト系SUS

  • SUS405 Ni無 Cr10.5~14.5% Al0.1~0.3%
  • SUS430 Ni無 Cr16~18%

特に焼入れ性・耐摩耗性に優れる 磁性を有す 金属光沢は直ぐになくなる

マルテンサイト・析出硬化系SUS

  • SUS630 Ni3~5% Cr15.5~17.5% Cu3~5% Nb0.15~0.45%

耐食・高強度・高靭性・磁性を有す ステンレス鋼に限らず、合金の研究開発は 目覚しいものがあり、JISによる規格化が追いつかない状態だ。 明日にはもっとすばらしい、夢の合金が、発表されるかもしれません。

※蛇足―ステンレス鋼
最近包丁鍛冶の親方から聞いた話である。 自分は親方からの教え『, 包丁は叩いて作れ,叩けば叩くほど 良い包丁が出来る。』を守って包丁を作ってきたが、 独り立ちしてまもなく、自分の親方は手を出さなかったが 若いから新しいものにと、SUSの包丁作りに挑戦したそうだ 親方の教えを守り、叩いて鍛えたが、叩けば叩くほど脆くなり、包丁の形をも作れなかったと言っておられました。

「何十本挑戦しても ダメ 俺みたいに、叩くしか脳の 無い鍛冶屋は使えない代物だ、SUSはいじると直ぐに イジケテ仕舞う。」と言っておられました。 今でも鉄の包丁だけを作り続けておられます。

  • フェライト系SUSは,475°C付近と1000°C以上に長時間加熱すると脆性が現れるのだそうです。 良く鍛えようと、何度も加熱したことが、逆にあだになって しまったのでしょうか。
  • 現在のSUS包丁は、成分を調整したSUSで全鋼や 2層、3層の板を作り、型抜き、柄付けの為の加工、荒削り、 熱処理、柄附け、研磨の工程で作っているそうです。
  • SUSの欠点を補う為に、バナジウムやモリブデン、マンガンなどを添加した、新しい合金の開発も進んでいます。 もしかすると、新しい刃物材料が開発されるかもしれません。

※蛇足―ニッケル
ニッケルで合金が開発され始めた1900年頃、今までの金属とは 違った性質が現れ、特に薬きょうの材料である白銅には 欠かせない金属として注目した米国政府は、備蓄場所として 国民の財布の中を考えた、5セント硬貨を白銅製にして、有事には 回収して薬きょうを作ろうと考えた。 日本もそれを真似て、外国には硬貨発行の為のニッケル買い だとして,ニッケル買いを進め,ニッケル硬貨を発行しました。 1940年頃発行の5銭と10銭硬貨がそれだったそうです。 戦後発行のニッケル合金硬貨は?....

※蛇足―鍛冶屋も命がけ
鍛冶屋だった祖父の思い出話である。 知り合いの腕の良い鍛冶屋の親方が、食事の最中に急に亡く なられたそうだ、「あいつは青酸カリを使っていたからな~ァ、 良く手を洗わなかったのだろう。」と、独り言のように つぶやき、しょんぼりしていた。 熱処理に猛毒の青酸カリを使う方法があるのだそうだ。 鍛冶屋内では常識だったのだろうけど。.... 新聞にも載らず、無事、葬式も終わったそうです。